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特集 社会保障と公衆衛生の接点をさぐる ろんそう 社会保障・公衆衛生相互の問題点
個人を忘れすぎた公衆衛生
著者: 本田良寛1
所属機関: 1済生会今宮診療所
ページ範囲:P.380 - P.381
文献購入ページに移動しかし,この制度の相互間に,有機的な,一貫した横の仕組みがあるかというと,今のところは,仕切られた壁しかない。現実に,繩張りがあるということは,これらにたずさわる人たちの怠慢と失政としか考えられない。低所得階層を対象として仕事をしていると,これらの制度の間における縄張りとか無関連が,いかに国民の最低生活を営む権利を侵しているかを,毎月のように嫌になるほど見せつけられるのである。生活保護法にすら該当されずに,道に倒れるまで見棄てられている現実があるということは,これらの諸制度が,自立可能な人々には役立ってはいるが,自立能力の弱い人々には,最後に倒れる時まで適用されないことを証明していよう。
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