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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生30巻8号

1966年08月発行

文献概要

随想 明日を担う公衆衛生

所感

著者: 羽生田進1

所属機関: 1群馬県医師会

ページ範囲:P.416 - P.416

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 近頃,保健所に心電計を設置することが流行?している。その理由は,表向きは,保健所において成人病とくに高血圧,心臓疾患の診断をするため,ということでなかなか結構なこととも考えられるが,実際には保健所には医師がきてくれない。従って,医師を迎えるには,少しは診断の器具,器械が整備されていなければと,医師吸収策の1つ。さらに,保健所の医師も定年がくれば退職しなければならないが退職したら一体どうするか,せめて保健所にいる問に心電図ぐらい読めるようになっていれば開業もできるだろうというわけである。私も医師会長である以上,このことを十分理解してやらなければならない。しかし,保健所は個々の住民の健康診断をすることが目的ではない。地域住民の集団健康管理を中心とした,予防医学,公衆衛生と取り組むことが真の目的である。その保健所に医師がきてくれない。公衆衛生を専攻する医師が年々減少してきている。公衆衛生を専攻しても大学の教室か役所へ勤務するより他に生きる道がない。その道には定年制があり,一般公務員と同じ待遇である。大学で一年もよけいに勉強し,さらにインターンを一年経験し,さらに国家試験を受けて医師免許証を貰う。一般文科系統より2年もよけいに学生生活をやっても,その待遇に対しては,卒業年度で一律にされてしまう。第一線の現場に行った場合には,多少の技術手当が出るらしいが大したことはない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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