文献詳細
文献概要
随想 明日を担う公衆衛生
若き日の感激
著者: 堀内一弥1
所属機関: 1大阪市立大学医学部衛生学教室
ページ範囲:P.428 - P.429
文献購入ページに移動私の当面の課題は,常圧からの急激な減圧によって生体に発泡現象を認めるか否か? 発泡するとすればその予防(耐高性につながる)はどうか?,というもので,教室で以前からやっていた潜水病の研究の実績を買われたものであったと思う。常圧からの減圧によって潜水病様の症状を呈することは,実地でも知られ,すでにアームストロングの航空医学の本には,山羊の血管の内に気泡が生じている写真が載っており,航空栓塞症(aeroembolism)という名前までついていた。しかし私たちの誰も実際にみたものはいない。そこで,カイウサギ,ダイコクネズミ,ハツカネズミを使って急速減圧実験を開始したが,発泡にいたるまでに酸素欠乏のために死んでしまう。ウサギ用,ネズミ用の酸素マスクを考案してやってみたがどうもうまくいかない。4月からはじめて,毎日がんばっているうちに,第3回目の応召,内地残留,戦病,などの邪魔が入ったため,とうとう11月になってしまった。いろいろ考えた末,酸素欠乏に強いガマをつかってみることにした。
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