icon fsr

文献詳細

雑誌文献

公衆衛生30巻8号

1966年08月発行

文献概要

随想 明日を担う公衆衛生

「島の旅」ブームに思う

著者: 野村茂1

所属機関: 1熊本大学公衆衛生学教室

ページ範囲:P.437 - P.438

文献購入ページに移動
 空を仰げば,満天に宝石をちりばめたような星空,などという実感は私どもの日常から次第に遠ざかっている。しかし,夏の夜に九州の山村,離島でみる星空は美しい。「きらめく星座」などという古い文句がふと思い出される。その空は清澄で俗塵がないのである。「上から下におよぶを風といい,下から上におよぶを俗という」などと講釈されるのをみれば,大気汚染などというのも,下界の営利を追う営みの副産物が上空に及んだものなのだから,これを俗塵と呼んでもさしつかえなかろうというものである。
 それはともかく,美しい星空は御神火の大島でも,アルプスの上高地でも仰ぎみることはできるが,眼を一たび地上にうつすと,このような身近な観光地は,雑踏と塵芥で俗化しきっている。俗塵から離れることを願う都会人たちは,秘境探訪とか離島の旅とか,観光の足をのばしていく。そのため,ここ数年はこういう意味で「島ブーム」とかいわれる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら