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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生30巻8号

1966年08月発行

文献概要

随想 明日を担う公衆衛生

たそがれ,くらやみ,夜明け

著者: 中村美治1

所属機関: 1健康文化会労災職業病公害研究所

ページ範囲:P.440 - P.440

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 公衆衛生のたそがれということがひそかにいわれはじめてから十余年になる。昨年末から今年の春にかけては,私の働いている東京北部でも,腸チフス,赤痢の集団発生が相ついでいる。また,すでにがまんできないほど大気汚染がひどくなっている町の真中に大きなごみ焼場をたてようとか,患者はベトナムから無検疫で運びこまれるから米軍野戦病院をたてようとか,さてはLPGの貯蔵所をつくろうだとか,たそがれがいよいよくらやみに移行しているといってよい状況がはっきりしてきた。
 たそがれがくらやみになれば次は夜明けがくるから,これは手放しでなげくことでもないだろう。草木は眠り,百鬼夜行するうしみつ時をながびかせず,夜明けの到来をはやめるためにはどうすればよいのか,これが今日の課題であろう。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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