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特集 住宅と健康 第8回社会医学研究会・主題報告と総括討議 主題報告Ⅰ 都市居住者の住生活と健康
座長まとめ
著者: 東田敏夫1 須川豊2
所属機関: 1関西医大衛生学教室 2神奈川県衛生部
ページ範囲:P.619 - P.621
文献購入ページに移動都市居住者の日常生活におけるもっとも多い不満は「住宅困窮」である。昭和41年9月の「住宅需要の実態調査によると,全国市部抽出3万余世帯の44%は「住宅に困っている」と答え,35年よりも8%も増えている。都市における住宅困窮は,市民の各層にひろがっているが,とりわけはげしいのは低所得階層である。38年の「住宅調査」によっても,月収が少ない世帯ほど,非住居居住,狭小過密,老朽,同居などの「住宅難世帯」の割合が大きく,また住宅難世帯の90%は月収5万円以下の世帯である。おおまかにみて,都市の低所得勤労者世帯は2世帯のうち1世帯は住宅に困窮しているといってよい。
住宅だけではない。ごみ処理,排水,下水,道路などの住区の環境衛生,大気汚染,河川汚濁,悪臭,騒音などの産業公害と都市公害,自動車事故の発生犠牲など,低所得勤労階層が多く住む地域ほど条件がわるいという,市民の住居と住環境の階層格差と地域格差が認められるのである。
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