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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生31巻11号

1967年11月発行

文献概要

特集 住宅と健康 第8回社会医学研究会・主題報告と総括討議 主題報告Ⅲ 居住環境と健康

座長まとめ

著者: 庄司光1 原島進2

所属機関: 1京大工学部 2慶大

ページ範囲:P.642 - P.644

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 ブルックリン大学教授のKappは,彼の「営利企業の社会的費用 改訂2版」のなかで,社会的費用をつぎのように定義している。「要するに社会的費用という概念は,生産過程の結果として,第三者や社会が被害をうけ,私的企業家が責任をとらない,あらゆる有害な結果や損失である」。ポール・マントウは「産業革命」で「産業革命がもっとも直接的でもっとも悲惨な結果をもたらしたのは住宅問題に関してである」と述べている。産業資本主義の段階の社会的費用は,主として都市労働者の生活困難であり,それによって都市における労働力の再生産の条件が不十分となり,あるいは破壊された。産業革命期のイギリスの労働者階級の生活状態については多くの文献がある。工場内では労働災害,工場外では住宅難,環境悪化などの都市問題,そして失業が労働者に襲いかかった。それらは低賃金,重労働と相まって,家計費の上昇,労働者の肉体的,精神的荒廃をもたらした。エンゲルスは「イギリスにおける労働者階級の状態」(1845)のなかで,マンチェスターと周辺都市の労働者住宅と居住環境についてつぎのように述べている。「マンチェスターとその郊外都市とに住む35万人の労働者は,ほとんどすべてが粗末なじめじめしたきたない小屋に住んでいる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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