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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生31巻8号

1967年08月発行

文献概要

ニュースの焦点

日本脳炎を予防するには

著者: 山下章1

所属機関: 1東京都麹町保健所

ページ範囲:P.486 - P.486

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 また日本脳炎の流行期がやってきた。すでに先月の中頃の新聞に"日本脳炎今年は流行年"と警句している。それによると,「昭和30年頃までは1年おきに流行を繰返していたが,33年からはだいたい3年ごとの流行期をとるようになり,ことしはその流行年に当たること,昨年はウイルスの最初の検出は6月21日であったのに,ことしは6月6日に長崎県愛野町で採取したコガタアカイエカから検出され,昨年より2週間も早いこと,患者の初発が昨年は5月23日であったが今年は5月3日に愛知県の安城市で第一号が発生し昨年より20日も早い」などの理由をあげている。もともと日本脳炎は,瀬戸内海海岸の地方病であったものが,戦後全国的に流行するようになり,したがってその被害も大きくなった。
 日本脳炎にはまだ特効薬は発見されていない。そのために致命率は伝染病中最も高い。昨年は2,163名届出られ1,445名死亡している。死亡をまぬがれた者もそのほぼ半数は,大小の筋肉麻痺や脳神経症状が後遺症として残る。昭和22年から20年間の死亡者の合計は21,166名とばく大な数になる。この伝染病の病原巣については,学者によって必ずしも意見が一致してはいないが,媒介昆虫はコガタアカイエカを主とする蚊属であることは異議はない。だから蚊の発生を皆無にすれば,本病の発生はありえないことになる。しかし,下水道をはじめとする生活環境整備の遅れているわが国では,これは当分望めそうもない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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