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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生32巻12号

1968年12月発行

文献概要

特集 ビル・地下街—新しいコミュニティー

ビル地下街の環境衛生の課題—ねずみ・昆虫—その問題と対策

著者: 佐々学1

所属機関: 1東大医科研・寄生虫研究部

ページ範囲:P.535 - P.538

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 ビルの地下街は,いろいろな生物にとっても,人為的に作られた新しい環境であり,それまで別の自然環境に生活していた生物の一部が,たまたまそれに適応した習性をもっていたさいには,これに住みついて繁殖しうる場合もある。それは,構造上からあえて類似を求めるならば,自然界の洞穴がこれに似ており,"洞穴生物学"と比較することはたいへん興味がある問題であるが,ビルの地下には,人が住み,人の食物や排泄物などがあるという点で,天然の洞穴とは"栄養源"が大いに違っている。したがって,いまのところ,問題となっている生物(特に害虫たち)に洞穴との共通種はみられない。
 ビルの地下街に繁殖する生物のうち,特に環境衛生上の問題となるのは,ネズミ類,ゴキブリ類と,チカイエカであろう。このうち,ネズミやゴキブリは特に"地下"でなくとも,ビルの中ならどこにでも住みつきうるが,チカイエカは全く"ビルの地下街"という特別な環境に適応しているという点で,生物学的にも興味が深い。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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