icon fsr

文献詳細

雑誌文献

公衆衛生32巻3号

1968年03月発行

文献概要

特集 医療社会事業の役割 論点 医療社会事業に何を期待するか

真に国民のためのものにする努力こそ必要

著者: 鷲谷善教1

所属機関: 1日本社会事業大学

ページ範囲:P.146 - P.147

文献購入ページに移動
ばらばらな実践活動
 日本の現在の医療社会事業はそれを直接担当している従事者だけでなく,医師,看護婦,保健婦などの関係者や彼らの所属している機関や施設自体さえ,さまざまなとらえかたをしている。医療社会事業そのものはアメリカにおいて生成・発展の歴史をもち,必然性をもっている。そしてアメリカの医療社会事業はそれなりの理論と方法をもっている。わが国の医療社会事業の主流もこれを典型とし,継承しているところに特徴がある。しかし,現実の医療社会事業はそれにアプローチする人々の立場によって著しく違った様相を示し,そのため歩調が合わず,統一の意志や行動が生まれにくく,一部のやや気負った従事者の専門的自負心が医療社会事業の名を支えているような状態がある。
 あるものはアメリカの医療社会事業を信奉して,それの忠実な実践を本務と考え,あるものは新しい観点から医療社会事業をとらえ直そうとし,またあるものは医療社会事業の名のもとに,羊頭を掲げて狗肉を売るような策を講じている。しかし問題は,国民皆保険のたてまえにもかかわらず,現実には医療から見離された数多くの働く国民がいるという社会現象を前にして,医療社会事業が,患者ひいては国民大衆の医療にどのように役立ち,それを阻害する諸条件に対してどのように取組むかであろう。これを明らかにするためにまずわが国の医療社会事業の歴史を追求する必要があるであろう。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら