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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生32巻4号

1968年04月発行

文献概要

人とことば

集団の医学

著者: 高橋晄正

所属機関:

ページ範囲:P.181 - P.181

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 集団の医学について考えを進めていくに当たって,わたくしたちは人間の集団はどのようにしてできるかについて考えてみる必要がある。人間も,植物や動物と同じように自然的環境に規定された地域的集団としてみられる場合もあるが,人間はその地域的集団のなかにおいてその社会的要因に基づいたさまざまな小集団を作っている。もちろん,それらの社会的要因の発展は大きくはその地域性に規定され,また地域と結びついた自然環境の影響を強くうけている。しかしながら,集団を規定する社会的要因は,集団の医学的特性に特異的に影響を与えていることが多いので,集団の医学の出発点として,まず社会のなかにおける集団ということについて概観してみることが必要である。
 人類社会が,その最も原始的な形態であると考えられる家族から出発して,どのような過程をへて現在のような複雑な形態へと発展したかを解明することは,その背後にある自然的環境の母体をなす宇宙や地球あるいは種の起源をたずねることと同時に重要な問題である。しかし,先史考古学・未開社会の研究あるいは動物社会学の研究にもかかわらず,その解明は宇宙や生命の起源についてのそれに較べては,いまなお著しく遅れているといわなければならない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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