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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生32巻5号

1968年05月発行

文献概要

研究

疾病観に関する研究

著者: 松井清夫1 坂本弘1 杉浦静子2

所属機関: 1三重県立大学医学部衛生学教室 2三重県立高等看護学院保健助産学科

ページ範囲:P.218 - P.222

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はじめに
 公衆衛生的なコミュニティ・アプローチの初段階では,地区調査すなわち,地域の保健衛生上解決されなければならない客観的な問題点をあきらかにすることが必要であることは論をまたない。しかし一方,対策化を考えるための地区診断の段階においては,地区住民保健行動体系のなかへの問題点のとり込みの状況や程度を知る必要が正じてくる。この場合,住民の保健行動は,保健態度という行動の準備体制のうえになりたち,態度は心理的欲求に支えられたものとの解釈にのっとって調査分析が進められる1)。この作業の流れがニーズの把握といわれているが,ニーズの解釈は必ずしも諸家の見解が一致していない。ヘルス・ニーズといわれているものに心理学的意味での欲求―すなわち「健康でありたい」というものと,WHOなどで使われているような保健衛生上解決しなければならない「必要性」との二つの概念があり,これに対し田中は,コミュニティアプローチの立場からは必要性と欲求を基底としてあらわれた住民保健行動のずれをヘルス・ニーズとして把握すべきことを述べている1)。これに関し,岡田ら2)はニーズを縦の系列で国レベル,地域レベル,個人レベルに分類し,前二者は要請,要求,必要の意味を強くもち,個人レベルでは欲求と同一義に用いられるとしている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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