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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生32巻7号

1968年07月発行

文献概要

特集 伝染病予防

伝染病予防の問題点—主として法律を中心にして

著者: 春日斉1

所属機関: 1静岡県衛生部

ページ範囲:P.219 - P.224

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はじめに
 現在わが国の伝染病対策は基本的には3つの法律によって運営されている。すなわち,明治30年に制定された伝染病予防法,昭和23年に当時の占領軍の要請により作られた予防接種法および昭和26年に国連に加盟したことによりWHOの国際衛生規則(International Sanitary Regulations)を批准した結果,それをうけて作られた検疫法の3つである。検疫法は6つの外来伝染病を対象とした国際検疫についてであるから論外におくとして,他の2つの法律を中心に伝染病予防対策の問題点にふれてみたい。
 伝染病予防法の最大の欠陥は,立法当時,種痘を除いては有効な予防接種が確立されていなかったため,現在に至っても,感受性者対策がまったく取り入れられていないことにある。その意味で昭和23年の予防接種法の発足は種痘法を拡大したものであり,当然といえるが,なぜその時伝染病予防法を改正し,その一部として感受性者対策を立法化しなかったのか,疑問である。病原,環境,感受性の3要因対策が伝染病予防法の骨子であらねばならないのに,感受性者対策は,予防法制定後50年にして漸く取り上げられたものの,別個の予防接種法としてであり,かつまた国の都道府県,市町村に対する助成も,伝染病予防法が直接的な補助金行政であるのに対し,予防接種法は間接的な平衝交付金行政にすぎない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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