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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生32巻7号

1968年07月発行

文献概要

特集 伝染病予防

世界各国における衛生検査機構の現状とわが国

著者: 甲野礼作1

所属機関: 1国立予防衛生研究所

ページ範囲:P.225 - P.231

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わが国の現状
 わが国の伝染病予防対策の根幹をなす法律「伝染病予防法」は,明治35年に制定されてその改廃がたびたび論議されながら今日に至っている。この中に,実験室診断または検査,およびこれに基づく疫学が予防対策の基礎であるという思想が盛られていないのは,当時の医学とくに微生物学の進歩の水準から考えて怪しむに足りない。しかしこの現行法がある以上,予防対策の思想もこれに規制されるのは止むを得ないところであろう。極論すれば,わが国の伝染病予防対策には試験検査に基づく疫学が欠けているともいえる。もちろん,現実に中心機関である国立予防衛生研究所では,この種の疫学的業務が行なわれ,防疫上に多くの貢献をなしているが,それは十分組織化されておらず,個人的な点と線でつながっているに過ぎない。検査を表看板にしている部門は,4年前に発足した私どものウイルス中央検査部のみである。予研における疫学的検査のために計上されている予算額は,ワクチンの検定のための予算の数分の一という現状で,いかに疫学的検査が軽視されてきたかが分かるであろう。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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