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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生32巻9号

1968年09月発行

文献概要

抄録

呼吸器感染に対する喫煙の影響

著者: 牧宏暢1

所属機関: 1日大医学部・公衆衛生

ページ範囲:P.347 - P.347

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 タバコの煙が,呼吸器の感染に対する抵抗力を減ずるらしいということは知られていた。しかし,感染の防御機構の障害と,呼吸器感染の抵抗力の減少とを結びつけた実験的研究はなかった。著者はタバコの煙に,ただ1回暴露させるだけでも,呼吸器感染の抵抗力を減少させることを,実験的に明らかにした。
 実験には18-22gのマウスを使用した。1つの実験に60-80匹を用いている。エアーゾルにしたKlebsiella pneumoniae,Diplococcus pneumoniae,Staphylococcus aureus,Influenza virus type Aにより呼吸器感染を起こさせたマウスを,タバコの煙に暴露してから呼吸器感染を起こさせた。対照にはタバコの煙の代わりに空気に暴露した。また,タバコの煙の暴露と呼吸器感染との時間的なずれを1,3,24あるいは48時間に変えたり,タバコの煙の暴露時間を1,3あるいは6時間に変えて実験している。その結果,K. pneumoniaeとD. pneumoniaeにより侵襲されたマウスは,侵襲がタバコの煙の暴露前でも後でも死亡率が増加し,生存日数が減少している。このことは一時的なもので,タバコの煙の暴露と細菌感染の間隔が,48時間になると死亡率は減少し,生存日数は増加して,対照群と変わりなくなる。以上の結果はタバコの煙の暴露時間を延長しても同様であった。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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