icon fsr

文献詳細

雑誌文献

公衆衛生33巻1号

1969年01月発行

文献概要

人とことば

追いかけの公衆衛生

著者: 藤本薫喜1

所属機関: 1長崎大学衛生学

ページ範囲:P.1 - P.1

文献購入ページに移動
 ライスオイルによる中毒らしいという患者が北九州地方に多発していると新聞が報道し,その原因は食用油に混入していた砒素化合物ではないかと,患者の使用していた油を分析した結果よりして,久留米大学医学部の山口教授が発表した.43年度における公衛畑での食中毒事件としては,社会の耳目をそばだたせた筆頭のものである.特に,そのライスオイルは販売ルートにのって西日本各地に広がり,使用した人口数が多く,使用期間も数カ月を重ねた者が多いとなってはことは重大である.油の性質,その使用方法,患者の症状よりして,細菌性の中毒ではないことが即断される.この油を用いて調理をする際は120℃以上の熱がかけられるのが一般であるから,何か熱によっても分解しない性質の毒性物質が混入していると考え,他方,皮脂腺,皮膚の色・光沢などの変化と肝障害などとが主な症状であるというところから,重金属中毒が考えられたのであろう.米ぬかを原料とした油に有毒物が混入するとすれば,米の生産過程中に殺虫防虫剤などに含まれていた物質が米,特にぬかに蓄えられており,これが油に移行したのか,米ぬかが作られて後に毒性物質が混入したか,油の製造過程で混入したか,特に精製の過程で用いられる化学工業薬品中に不純物として混在している毒性物が混入したのか(ビン詰の工程中に混入したと疑うのはおかしい)などの場合を考えるのが一般常識である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら