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特集 地域保健計画
地域保健計画におけるPERTの応用
著者: 新井宏朋1
所属機関: 1千大・公衆衛生
ページ範囲:P.560 - P.566
文献購入ページに移動多くの人々が集まって,共通の目標達成のために共同で仕事をする時,目標のスケールが大きいほど,参加する人の数がふえ,その職種が多岐にわたるほど,仕事の性質が複雑で長い年月を要するほど,計画の立案,実施,統制,調整がむずかしくなることはいうまでもない.PERT(パートと発音する.),すなわちProgram Evaluation and Review Techniqueが,このような仕事の計画と管理に有用な技法であることが実証されたのは1958年,アメリカにおけるポラリス・ミサイルと,ポラリス潜水艦の開発プロジェクト(大きな事業計画をプロジェクトと呼んでいる.)においてであった.それから今日まで約10年,PERTは軍関係の事業だけでなく,ひろく企業内の各種活動の計画と管理に応用されるようになり,本邦で,たとえば最近の霞ケ関超高層ビルの工程管理がPERT手法によって行なわれ,工期を大幅に短縮することができたと報告されている.PERTが本当の実力を発揮するのは宇宙開発をはじめとする,大規模なプロジェクトにおいてであり,大型電子計算機の導入が欠くことのできない条件になっている.しかし一方において,PERTの基本的な考え方は決して難解なものではなく地域保健活動の計画と管理に"明日からでも,すぐ役に立つ"要素を多分に含んでいる.以下,PERTの基本的な仕組みからはじめて,地域活動における応用の実例について述べてみたい.
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