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雑誌目次

雑誌文献

公衆衛生33巻4号

1969年04月発行

雑誌目次

特集 国際衛生

WHOと日本

著者: 斉藤勇一

ページ範囲:P.188 - P.196

まえがき
 私どもは20世紀になってから2つの世界大戦を経験している.人が人を殺し合うというのであるから,何とも野蛮な話であって,私どもの理想に比べて,現実は10数世紀も遅れているといわざるをえない.
 第1次世界大戦の際,米国が遅れて参戦するにあたっての大義名分は"すべての戦争を終わらせるための戦争"であった.戦争のない世界,真の平和というものは人類の悲願である.第1次大戦の終了後,世界に平和をもたらせる目的をもって,国際連盟が創設された.しかし,いろいろな事情から連盟は20年の短命で崩壊して,第2次大戦となる.

日本WHOクラブの活動

著者: 松田心一

ページ範囲:P.201 - P.207

フェローシップ
 日本WHOクラブが誕生したのは,昭和35年8月で,その時からもう9カ年に近い歳月が流れた.本会も発足当時の会員数は約100名程度であったが,その後年ごとに増加し,昭和43年末で,213名に達した.本会の会員は,その規約に定められているように,正会員は,すべてWHOのフェローとなったもの,その他WHOの事業に関係を有し,入会を希望したものとなっているので,その正会員は195名を数え,これに賛助会員13名,名誉会員5名を加えるとちょうど213名となる.当初本会の会長には,わが国の第1回のWHOフェローとして,ニュージーランドとアメリカとの未熟児対策の視察のために渡航された前聖路加病院小児科部長斎藤文雄先生をお願いしたが,当時先生は非常にお元気で,本会設立のための準備打ち合わせ会にも何回か出席され,本会創立発起人の1人として名前をつらねられ,またその後も毎年の総会には欠かさず出席されて会の主宰にもつとめられていたが,それから4年めに当たる昭和39年4月に卒然として心臓マヒのために他界されるという不幸なできごとがあった.しかし本会は,その後も先生のご遺志を継いで,現在にいたるまで,順調に発展をつづけているしだいである.
 ここにまず,本会誕生の動機,設立の主旨,活動情況,および今後の事業計画と目標などについて述べてみよう.

東南アジアおよび西太平洋地域の衛生事情について

著者: 黒子武道

ページ範囲:P.208 - P.212

 WHOの東南アジアおよび西太平洋地域には,現在22カ国と20以上のterriforiesが含まれる.地理的にはIndia-Pakistan地区の1部と東南アジア,Australasia,Oceaniaを含む広大な地域を占め,8億6千万を越える膨大な人口をようしている.またこの地域には,熱帯または亜熱帯に属し,社会・経済的に低開発地域と称せられるところが多く含まれていることもこの地域の特性といえよう.
 一国の公衆衛生や保健サービスの現状は,それぞれの国の近代化の過程における社会・経済的所産であり,先進諸国と低開発国との間に著しい差異のあることはむしろ当然のことはであるが,低開発諸国の間においても,社会的・経済的・文化的な発展の度合いに応じてその様相を異にしている.

空の検疫

著者: 加藤十一

ページ範囲:P.213 - P.217

はじめに
 日本の空の表玄関である羽田空港の検疫所をお預りしている者にとって,今回,投稿の機会が与えられたことは,光栄であるとともに,責任を感ずるが,以下の拙文が読者にとって"空の検疫の現状と当面する諸問題"などについて,いくぶんなりと理解への一助になるよう努力して記述していきたい.
 なお,諸問題とその対策については,小生の個人的見解がかなりはいっていることをお断わりして,以下項目に従って記すことにしたい.

海の検疫(1)—運輸の大型化・スピードアップに対処

著者: 岩田昌一

ページ範囲:P.218 - P.220

はじめに
 わが国の検疫制度も本年で90周年を迎えようとしている.公衆衛生活動または衛生行政としては,最も古いものの1つである.江戸時代の末,鎖国から開国へと移行し,開港に出入する外航船舶もしだいに増加し,これに伴って明治以前のみならず,明治時代ことに前半において,コレラがしばしば大流行し,数万人が死亡するという事態,さらにペスト発生もこれに加わるというケースがくりかえされたのである.
 そこで,政府は明治12年7月14日,わが国最初の検疫規則を公布するとともに,外来伝染病特にコレラの侵入防止業務を開始したのである(この日は"検疫記念日"とされている).爾来,外来伝染病の国内発生も遂次減少した.その後も侵入防止に備えて検疫体制は強化され,今日に至っているが,大正15年国際伝染病の侵入防止を目的とする国際衛生条約に加入し,国際的に万全の態勢がとられたのである.

海の検疫(2)—神戸検疫所の当面の問題と将来

著者: 大橋六郎

ページ範囲:P.221 - P.223

検疫官制度の将来
 検疫官中,医師たる検疫官の定員補充については,全国の検疫所長が常に頭を悩ましている大きな問題である.公衆衛生に従事する医師の不足は,保健所の医師定員の補充率が40%と聞き,都道府県,政令都市の主管部長の苦心と同じく,われわれも今後いかにして医師を導入するか,現在のところ策なしといわざるをえない状況である.しかも,現検疫所長は年齢的にみて当分の間は現職しうるであろうが,これに続き医師たる検疫官として将来とも,腰を落ち着けて検疫業務に専念しうるものは,どれぐらいあるであろうか,将来性が非常に危ぶまれてならない.
 現状では,医師の不足を補う検疫官制度が最も緊急度の高い検討問題であるが,検疫業務にたずさわる獣医師・薬剤師・衛生検査技師に関しても,遠からず同様に,衛生検査官制度問題が起こることが予想される.

われわれの行なってきた海外医療協力—JOCS 9年の歩み

著者: 佐藤智

ページ範囲:P.224 - P.227

まえがき
 "古切手を集めて,ネパールへBCGを!"という運動や,ネパールの子供を養女にして,ヒマラヤ山麓で結核と闘っている公衆衛生医岩村夫妻のことは,ご存知の方もおられるだろう.彼のみならず,何人かの医師とその家族を民間団体として支え,インドネシア,台湾,ナイジェリアへ派遣しているのが,私たち(社団法人日本キリスト教海外医療協力会会員たち—以下JOCSという—)である.
 この仕事は始めてからまだ9年である.日本の民間の善意のお金で,キリスト教の信仰をもつ医療従事者(日本キリスト者医科連盟に連なる者たち)を,医療に恵まれない海外諸国へ派遣し,また,留学生を招きその国の医療水準の向上に協力することを目的としている.外地に日の丸の旗やキリスト教の旗をたてた病院を作るというのではなく,それらの国の人たちが自分たちの力で立ち,自ら健康を勝ち取るように助け,協力するということである.

国際衛生を考えるとき

国際技術協力活動

著者: 福島一郎

ページ範囲:P.197 - P.198

 昭和41年8月31日,科学技術会議は"科学技術振興の総合的基本方策に関する意見"と題する見解を公表し,この中で,特に"低開発地域に対する科学技術協力"の見出しで1節を設けて,わが国の低開発地域に対する医療や公衆衛生部面を含めての科学技術の協力体制の現状とその問題点を述べている.

積極的な海外進出を

著者: 鈴木猛

ページ範囲:P.198 - P.199

 筆者は,カ,ハエ,ゴキブリやネズミなどに関する衛生動物学の研究に従事し,特に殺虫剤とそれによる害虫駆除を専門としている.この数年来,OTCA(海外技術協力事業団)やWHOの委嘱により,タイ,ビルマ,西サモアに出張し,熱帯地域の害虫駆除の研究に従事してきた.それらの経験を通して,感じたことなどを述べてみたい.

天くだるコレラ

著者: 小張一峰

ページ範囲:P.199 - P.200

コレラの顔つき
 コレラ顔貌という言葉がある.定型的なコレラ患者の顔つきは1度見たら忘れない印象的なものである.土気色にくすんだ顔,くぼんだ眼窩,眼球がつり上がった半開の瞼,とがった鼻とほほ骨,チアノーゼの濃い口唇,そして痴呆のような表情が形成する特異な顔貌である.こうした顔つきをして頻死の状態で横たわっているのがコレラである.ところが,最近東南アジアに流行し,さらにインドにまで蔓延しているエルトールコレラは,このような定型的重症例はもちろんあるが,軽症者が著しく多い.
 かつて台湾にエルトールコレラが流行していた時,高雄港に碇泊中の貨物船御影丸の乗組員ほとんど全員が感染した.その27名のうち下痢回数が1日15回あり,軽度の脱水症状を示した者はただ1名で,他はほとんど1日2,3回の軽症下痢の程度であり,脱水その他のコレラらしい症状は全く見られなかった.しかしながら,この27名はいずれもコレラ菌を便中に排泄していたのである.このような軽症者は細菌学的検査を行なうことなしに臨床診断のみによってコレラと決定することは不可能である.コレラがコレラ顔貌をしないで,いくらでも日本にはいってくる,ということである.

グラフ

WHOの世界的保健事業

著者: 斉藤勇一

ページ範囲:P.181 - P.184

 WHOは,世界じゅうの人々の健康を可能な最高水準に到達させることを目的として,多岐にわたる事業を展開している."疾病との戦い"と"健康の保護増進"の仕事にあたって,WHOは,各国の行なう保健事業の調査を行なっている.たとえば,衛生統計の用語の統一,国際検疫の統一,国際防疫情報,国際薬局方,生物薬剤の国際基準などの仕事がそれである.このほか,WHOは主として開発途上国に対して,医療・公衆衛生の職員の養成,各種の疾病対策などについて,技術援助を与えている.このほか,マラリアと痘そうについては,対策という考えをきりかえて,世界的規模で根絶事業を推進している.以下に,WHOの活動の一部を紹介する.

人とことば

公害問題と青年

著者: 永田捷一

ページ範囲:P.185 - P.185

 最近,公害問題は,何らかの形で,毎日のように新聞紙上に出ている.私の教室でも,河川の汚濁と取り組んでいるが,これについて,最近感じることがある.それは,公害問題に対する青年層の関心が,一般的にみるときわめて低いことである.ときどき,これは,どうしてであろうかと考えてみる.
 ご存知のように,岐阜市内を流れる清らかな長良川において,岐阜城の天守閣がそびえる金華山を背景に繰り広げられる鵜飼は,芭蕉が "おもしろうてやがてかなしき鵜飼かな" と詠じたように,なかなかあじわいのあるものである.人口40万程度の中都市の町の中で,川に釣糸を垂れることができるのは,岐阜市を除いて今日では数少ないことであろう.ところが,この清流の長良川でも,年ごとに鮎を始めとして魚獲高が減ってきたと,鵜匠をはじめ漁業関係者は嘆いている.のみならず,下流では,魚体に異臭が着いて,市場での商品価値にならずに,問題となっている.この長良川は,現在ダムは1つもなく,岐阜から上流では全国でも珍しく,水流,川の地形,水中や流域の動植物,風景などが,ほぼ昔のままを保っている日本の名川である.学問的な意味からも,このまま汚さないで人工的な手を加えず,そのまま子孫へ渡したいものだと願っている.

主張

国際衛生

著者: 森下薫

ページ範囲:P.186 - P.187

世界情勢と国際衛生
 近来の世界情勢は,その事がらのいかんにかかわらず一国の孤立は許されず,すべての行動は国際的プランニングによることを必然としている.かかる情勢下で取り扱われる問題は,当然それにふさわしい形態を要望されるが,これを衛生問題について考えてみると,各国に共通し,また実践上国際協力を必要とするものが少なくない.そこに国際衛生なる概念が浮かび上がってくる.
 国際間の交渉は,元来,政治的・経済的要素が根底となっており,今日においても,その原則に変わりはないが,近来,各国繁栄の平等性,各民族の人権尊重などの国際的理念が加わり,しかもそれがかなり強く押し出されている結果,国際間交渉のニュアンスが,以前とは大いに異なってきていることはいなめない.その実践上の顕著な現われの1つは,種々なる事態に関する格差是正を目的とする低開発国への援助協力である.これを含め,その他一般に諸国間の関係は急激に密接となり,かつ複雑となってきた.

海外の医学教育

ソビエトの医学教育(1)—その体系と背景・全ソ連邦における医学高等教育

著者: 藤森岳夫

ページ範囲:P.228 - P.234

 今日の大学紛争の発端となった東大・医学部ストは,わが国の医学教育の改革の必要を知らせる警鐘ともいえる.国民に良い医療を施すには,良い医師が必要であり,そのためには新しい卒前・卒後教育が確立されなければならない.
 本年より1年間,世界各地の医学教育(医学教育一般,公衆衛生学教育)の実情を紹介し,わが国の新しい医学教育を考える場としていきたい.

教室めぐり・4 名古屋市立大学・衛生学教室

各人自由な研究テーマの選択

著者: 六鹿鶴雄

ページ範囲:P.235 - P.235

 当大学が医・薬の2学部を設置して開学されたのが昭和25年4月,新制医学部が設置されたのが昭和27年4月です.この年の12月に,私が赴任しましたが,当時は講座制ではなく,医学部全体として教授・助教授(講師を含む)・助手がそれぞれ何名というようなプール制でした.しかし,昭和31年ごろより講座制に改められ,教授1名,助教授もしくは講師1名,助手2名,技術員2名の最低定員が確保されましたが,現在でも,当教室は人こそ変わ,れそのままの最低定員です.
 この間において,昭和35年10月に公衆衛生学教室が当教室より分離,新設されましたが,これにプール制が役だったことは望外の喜びでした.

私たちの保健所・4 石川県・輪島保健所

漆器職人と漁民と—へき地未組織零細産業労働者の健康管理を

著者: 西正美 ,   小林正

ページ範囲:P.236 - P.237

 北陸線金沢駅から七尾線に乗り換え,日本海の荒波に突出する能登半島の突端にある終着駅が輪島塗で有名な輪島市です.昭和19年5月当時の輪島町に周辺15町村を所管する石川県輪島保健所が開設されました.昭和21年に門前保健所が分離し,さらに昭和31年町村合併により現在の1市1町,454km2を所管することになりました.管内人口はへき地の通例どおり漸減傾向をたどり,昭和40年10月では5万2493で,昭和35年と比べて7.8%の減少を示しています.また,年齢別人口構成をみますと20歳台が大きな谷になっている,いわゆるへき地型を示しています.就業人口の52.5%が農林業ですが,あまり高くはありませんが,山が海に迫り,千枚田が観光資源になるほど耕地面積は少なく,1農家あたり0.7ha(石川県平均0.8ha)となっています.就業人口は農業には及びませんが,管内の主産業に輪島塗で知られる漆器業があります.また"舳倉島のあま"で代表される漁業があります.

特別連載

米国における保健医療体系の苦悩ならびに医師・歯科医師・看護婦の深刻な不足とその対策

著者: 館正知 ,   石戸利貞 ,   高橋英勝

ページ範囲:P.239 - P.243

第Ⅰ章 序論
 米国の保健医療費は著しい増加を続けており,1966年の夏においては,全物価の上昇率の2倍にも達し,この分でいくと,保健産業(health industry)は1975年までに米国における最大の雇用者になるにちがいないと予想された.保健医療費請求総額(national health bill)は500億ドルに近づき,しかも保健従事者や医療施設の数の増加は,いまだかつてないほど大きいにもかかわらず,専門的な保健サービス(professional health service)が利用しにくいという不満が世間に広がってきていた.このような背景のもとに米国は,合衆国史上最も意義の深い保健医療法であるメディケアおよびメディケイド(Medicare and Medicaid)の施行という仕務に直面したのである.これらの問題の処理に関し,大統領を援助するため,"保健要員に関する米国大統領諮問委員会"が設置され,"保健要員を利用しやすく,その活用法を改善するために政府,私的な施設,団体あるいは個人がとるべき措置に関し適切な勧告を作成する"使命が与えられたのである.
 委員会活動の当初に明らかにされたことは,保健要員の研究は,ただ単に人員の総数を問題にするだけではだめだということであった.

厚生だより

昭和44年度政府予算原案(環境衛生・公害対策関係)の概要

著者:

ページ範囲:P.244 - P.246

1.生活環境施設
 水道水源開発等施設整備費と簡易水道等施設整備費が,前年度に比べて大幅に増額される.人口集中の急激な都市地域における水不足を解消し,水道料金の高騰を防ぐため水道水源の開発のためのダムと水道の広域化を図るための建設費に対する補助金と,水道の未普及地区を解消するための簡易水道等の建設費に対してである.これに関連して,上水道の起債は前年に比べて55億円増加しているが,このうち厚生年金環元融資が261億円で著しく質の改善が図られる.

いおう酸化物にかかわる環境基準の閣議決定

著者:

ページ範囲:P.247 - P.247

 2月12日の閣議で,いおう酸化物(いわゆる亜硫酸ガスのほか硫酸ミストその他のいおう酸化物が含まれる)にかかわる環境基準が正式に決定した.環境基準は,公害対策基本法第9条に基づき,大気汚染・水質汚濁・騒音などの環境上の条件について健康を保護し,生活環境を保全するうえで維持されることが望ましい基準として定められ,公害防止行政の目標としての役割を有するもので,今回のいおう酸化物にかかわる基準が環境基準第1号である.

哀悼

勝俣稔日本公衆衛生協会長

著者: 長谷川泉

ページ範囲:P.212 - P.212

 公衆衛生は社会的には地味な仕事である.その地味な仕事を誠心誠意献身的に貫き通して福祉国家の大きな事業として行政面でも軌道に乗せた功績は大きい.その仕事をなしとげられた勝俣稔氏が逝去された.まことに哀悼にたえない.
 氏は財団法人日本公衆衛生協会長,財団法人結核予防会副会長の要職にあり,多年わが国の結核予防を中核とした公衆衛生面の先達者,指導者としてすぐれた才腕を発揮してこられた.大正8年に東大医学部を卒業されてから,一生のコースを決定したのは北里研究所の北里柴三郎所長との運命の出会いであったという.この運命の出会いには大日本医師会の理事をされていた父君勝俣英吉郎氏の配慮が大きくあずかっていた.一生を左右する人間形成の面でも,また慶応義塾大学病理細菌学教室にはいり,内務省防疫官として衛生行政にタッチされるようになった人生の軌道も,北里博士の示唆によるところが大きい.

モニターレポート

不良便槽対策協議会設置される

著者:

ページ範囲:P.234 - P.234

 山口県岩国市内のK地区の不良便槽の実態調査を行なった.このK地区は終戦後から昭和30年前後に至ってほぼ集団的に住宅・飲食店が建てられた地区で,住居者は比較的文化人の多い地区である.
 ところがこのK地区は建築基準法に違反する不良便槽が多く,また清掃法にも違反する不法行為が当然のごとく行なわれているということを聞き,岩国保健所員あげて本格的な調査にのり出したものである.

抄録

中高年齢層の人材を家庭保健の補助要員として訓練

著者: 白石陽治

ページ範囲:P.207 - P.207

 貧しい人々や恵まれない人たちに対して,地域病院が家庭保健要員として訓練し,養成して社会に奉仕しているところがある.Dr. Wilber Hoffは,家庭保健要員の養成をカルフォルニアの病院で実施した.彼には公衆衛生分野における人材の不足を解決するということと,45歳以上の貧しい人をその計画の対象とするという2つの目的があった.
 志願した人々の多くは,仕事を得るために長い間苦労し,困難なことを経験してきた.志願者の学力は小学3年生から高校3年生程度である.訓練の目的は,患者がベッドで寝たり起きたりする時に手伝ったり,定期的にベッドを整えたり,病室内を掃除したり,正確に看護婦に病気の様態を伝えたり,自宅療養をより効果的にするため,あいている暇な時間にするほかの仕事もある.

基本情報

公衆衛生

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1170

印刷版ISSN 0368-5187

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