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特別連載
米国における保健医療体系の苦悩ならびに医師・歯科医師・看護婦の深刻な不足とその対策
著者: 館正知1 石戸利貞2 高橋英勝3
所属機関: 1岐阜大・公衆衛生 2岐阜県衛生部 3岐阜県郡上保健所予防課
ページ範囲:P.294 - P.299
文献購入ページに移動1.医師の不足
本委員会は,医師の不足が現在存在し,しかもこの医師不足は,今後医師の供給増加が予想されるにもかかわらず,需要の増大に伴い,いっそう悪化するものと確信する.医師不足がなぜ起こるかを理解するためにたいせつなものは,医師が直接行なう患者サービスと,その指示の下に行なわれるものとに区別することである.医師が活用する医療補助者,診断装置,検査施設設備などが急速に増加したため,医師の指示下で行なわれるサービスのふえ方は,医師のふえ方よりはるかに急速である.医師1人当たりの医療サービス生産高(the output of medical services per physician)は,過去10年間の "生産性" の趨勢("productivity" trends)*が今後も続くと仮定すると,1965年から1975年の間に50%方ふえるであろう.
最も悲観にみても,現在から1975年までの医師供給の増加率は,人口なみと予想される."医師1人当たりの医療サービス生産高" の増加が予想どおりとすると,"医師の指示による医療サービス(physician-directed medical services)" の1人当たりの供給量も,少なくとも50%の増加をみるであろう.さらに,医師サービスを補い,時にはその代理ともなる "病院サービス" の増加の速度は人口増加より大きいであろう.
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