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特集 食品の汚染とその対策
食品の国際的流通の実態
著者: 内部博泰1
所属機関: 1厚生省食品衛生課
ページ範囲:P.322 - P.327
文献購入ページに移動戦後の混乱が続く昭和22年に食品衛生法が制定され,国内における食品の監視態勢が確立されて今日にいたっている.これよりやや遅れて,昭和26年に輸入食品に対する監視制度がスタートしたのである.
横浜,神戸を中心として全国各地に水揚げされる輸入食品に監視の目を光らせるべく,当初は小樽,横浜,清水,名古屋,神戸,門司,長崎の7港に,国の食品衛生監視員11名を厚生省の各検疫所に駐在させ,輸入される食品に対する収去・検査が開始された.しかし,法的根拠をもたない監視制度のもとで,しかも数少ない監視員の手で,すべての輸入食品を把握することはとうていおぼつかない状態であり,各方面から輸入食品に対する監視態勢の強化および全輸入食品を完全に把握するための法的措置などが強く要望され,昭和33年食品衛生法の一部が改正され,輸入食品の届出制度が確立されたのである.すなわち販売の目的で,または営業上使用する目的で,食品・食品添加物・器具または容器包装などを輸入しようとするものは,そのつど厚生大臣に届出をしなければならないことを義務づけたのである.他方では,年ごとに激増する輸入食品に対処するため,昭和33年に鹿児島港を,34年に東京港を,39年に大阪港を,さらに43年には羽田空港をそれぞれ駐在官事務所として新設し,新たに検査官を駐在させ現在にいたっている.
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