公衆衛生33巻6号

1969年06月発行

特集 食品の汚染とその対策

牛乳類の細菌汚染とその保存性

著者： 春田三佐夫¹

所属機関： ¹東京都立衛生研究所乳肉衛生部

ページ範囲：P.334 - P.336

食品の細菌汚染と変質
　食品はこれをそのまま室温に放置すると，種々の因子の作用により自然的変化を起こして変質する．変質することにより食品はほとんどの場合その可食性を失い，経済的損失を招くばかりでなく，ときにはこれを摂取する人の健康を害し，衛生上危険なものになる．病原細菌の汚染は特に危険である．
　食品の変質に関与する因子には種々あるが，まず第1にあげられるのは温度，湿度，光線などの物理的因子である．次にあげられるのが酸素や食品自体に含まれる酵素などの化学的因子である．さらにネズミ，昆虫類，細菌・酵母・カビなどの生物学的因子があげられる．これらの因子はそれぞれ単独に作用することもあるが，たいていは相互にからみ合って作用する．