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人とことば
公害問題と労働衛生
著者: 山口正義1
所属機関: 1労働省労働衛生研究所
ページ範囲:P.485 - P.485
文献購入ページに移動私が始めて公害という言葉を耳にしたのは,今から約30年前,昭和13年,厚生省が誕生して間もなく,当時の労働局の監督課に入って,労働衛生の仕事に携わるようになった時のことである.足尾銅山を始めとして,各地の鉱山の鉱毒問題は知られていたが,私が厚生省に入った頃,ようやく満州事変を契機として急激に発達していたわが国の化学工業の影響を受けて,各地の化学工場の活動が活発になり,そこから排出される廃液によって農作物や水産物に被害が起こり,その因果関係の究明や対策樹立のために,化学専攻の技師が忙しい思いをしていたことを思い出す.元来,監督課の化学専攻の技師の任務は,工場における化学災害の防止や有害作業環境の改善の監督指導が主たる仕事であったが,当時急激に増加しつつあったこの公害問題の処理にかなりの時間を費やさざるを得なかった.
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