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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生33巻9号

1969年09月発行

特集 性病

性病予防と梅毒血清反応

著者: 岡本昭二1

所属機関: 1千葉大学医学部皮膚科学

ページ範囲:P.497 - P.500

文献概要

はじめに
 梅毒はペニシリンをはじめとする抗生物質の進歩などにより,一時はghost diseaseと考えられたほど激減したが,昭和37,8年頃より顕症梅毒の新しい流行が報じられている1)
 梅毒はスピロヘータ・パリダ—近年ではトレポネマ・パリズムと呼ばれている—を病原体とする慢性伝染性疾患であり,おもに性交により人から人へと伝染する.トレポネマ・パリズムははじめに侵入した局所で増殖し,ついで全身にひろがっていくが,このさい生体の免疫防御機構を刺激して,この病原体に対する抗体を血清中に産生させる.この抗体を検出する方法が,いわゆる梅毒血清反応であり,この反応が陽性であることは,例外を除けば,梅毒に罹患しているか,または罹患したことのある人の血清であることが大半である.したがって梅毒の早期発見には梅毒血清反応による検査が,大きな役割を演じている.また,梅毒は他の性病(淋疾,軟性下疳,第四性病など)と異なり,十数年ないし,数十年後に心血管系や中枢神経系に梅毒性晩期病変を生じたり,母体の感染を介して先天梅毒児を発生させる.したがって,配偶者および新生児にいたるまで影響を及ぼす感染を起こす梅毒の有無を調べるために,婚姻時および妊娠時に梅毒血清反応を実施するよう,性病予防法に規定されている.また,最近献血運動が盛んになってきている折から,梅毒血清反応の重要性が強調されてきている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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