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特集 性病
性病の実態
著者: 斎藤誠1
所属機関: 1都衛生局予防部防疫課
ページ範囲:P.501 - P.505
文献購入ページに移動東京都における性病の実態は,行政および医療レベルの双方とも,その一断面を把えているにすぎない.しかし医療レベルにおける性病,なかんずく顕症梅毒の異常な増加を若年者にみいだし,危機感をもって対策を要求する一群の人達と,近年における性病の著しい減少を臨床面から探り,現在では重要な臨床的課題にならないという両群の医家がある.
行政レベルでは届出または集団血液検査の両面から実態の把握に努力し,できうるならば医療レベルで観察されている諸事実の正否を裏付けし,これを卒直に反映させる方策を求めているといえよう.この現状直視の理由の一つは,1964年のWHOの資料が示しているように,梅毒,りん病はともに患者の増加,特に若年層の早期顕症梅毒の増加を指摘していることがあげられる.わが国でも,この国際的動向は1961年に現われ,九州,中国地区に早期顕症梅毒の再出現が報告され,1964年には東京にもかかる状態がみられるにいたっている.
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