特別連載
米国における保健医療体系の苦悩ならびに医師・歯科医師・看護婦の深刻な不足とその対策
著者:
館正知1
石戸利貞2
高橋英勝3
所属機関:
1岐阜大・公衆衛生
2岐阜県衛生部
3岐阜県郡上保健所予防課
ページ範囲:P.44 - P.47
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2) 1つの地域においては,同じ量と質のサービスに対して,同じ量の報酬がすべての病院に支払われる事を,指導的,理論的原則とすべきである.この理論的理想が実現すると,同じ量のサービスを低いコストで提供する病院の純益は,高いコストの病院を上回るし,後者の純益は少ないか,または皆無の場合もありえよう.さらに,医療の標準が向上するにつれて,純益も増加するように,支払制度がなれば,最良の医療を提供する病院は,最大の純益をあげることになろう.高いコストの病院および,医療の貧弱な病院は,純益が小さく,時には,欠損も生じようし,時には,健康保険支払額以外に,割増料金を患者から徴収して,経営費をカバーせざるを得ない場合もでてくる.そのような病院は,医療の標準を改善し,経営費を引下げざるを得なくなるであろう.資金の流れの格差が,病院間に生ずる結果,最大の能率と最上の質を有するものが,結局は繁栄,拡大し,貧弱で最も望ましくないものは,姿を消して行くこととなるべきである.
病院医療部会(the Panel on Hospital Care)は,病院に対する支払に奨励刺激を導入するアプローチのいくつかを詳細に力説している.これらの計画のすべてに共通する要素は,医療の質を体系的にモニターし,評価することである.