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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生34巻1号

1970年01月発行

文献概要

資料

ビルマにおける痘瘡の流行と根絶計画の進展について(2)

著者: 黒子武道1

所属機関: 1国立公衆衛生院・疫学部

ページ範囲:P.48 - P.52

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はじめに
 全世界における痘瘡の流行,根絶計画の進展状況については,前号にその概要を述べた.痘瘡の根絶(smallpox eradication)ということは,Variola virusによる感染,発病を消滅させることであるが,痘瘡が容易に一国から他の国に伝播することから,根絶という用語は,通常,1つの大陸から痘瘡を完全に除去するという意味に用いられている.個々の国については,ことにその国が本病の常在流行国に近接している場合には,この表現は適用されない.この場合には,むしろ,防遏という表現を用いるべきであろう.痘瘡根絶計画の目的は,痘瘡の伝播を阻止しうるレベルまで本病の発生を減少せしめることにあり,流行国において,引き続き2カ年以上痘瘡の発生がなく,また輸入例による流行の発生した場合でも迅速にその蔓延を制圧しうる場合には,"smallpox free"といい,国レベルの防遏に成功したことを意味する.したがって,その大陸に属するすべての国々が,国レベルの防遏に成功したときに始めて根絶が達成されるわけである.いずれにしても,痘瘡はその疫学的特性と防遏技術,さらに多くの国々における従来の経験に徴しても,痘瘡の根絶ということは十分可能性のあることである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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