学会印象記
やや教科書的だが充実した内容—第45回東京都衛生局学会(第1日)の印象
著者:
荻村正男1
所属機関:
1渋谷保健所
ページ範囲:P.632 - P.633
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第1日(6月25日)は小山記念賞授与式につづいて一般演題18題とシンポジウム「地域保健活動」である.一般演題は最初の7題が母子衛生,つづいて栄養3題,成人病および老人衛生5題,精神衛生3題と分けて4名の座長のもとに発表が行なわれた.田無保健所小山は健診に対する期待度などについて述べたが,今後いかにして期待に答えるかが問題であるし,小児科医師による育児指導がもっと多く行なわれるような行政措置も望ましい.荏原保健所村川らが3歳児健診に当ってユニークな母子分離による小グループ討議を試みている点に参会者の興味が集中した.日本橋山下所長が健診の目的をしっかりつかめと注意したのは妥当な発言であったが,このような集団指導もまた意義深い試みである.下谷の高橋所長は乳健内容の質的向上を試みて一案を示した.
麹町保健所五十嵐,千住保健所小川,碑文谷保健所前らの発表した3題にわたる老人健康に関する調査は保健婦が訪問によってとらえた老人の生態で,老人診査は民生局関係のため今まで余り問題としていなかっただけに,今後保健所でこの問題とどう取り組むかを考えるひとつの示唆を与えるものといえよう.