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講座 地域保健活動・1 総論
地域保健活動の考え方・進め方
著者: 橋本正己1
所属機関: 1国立公衆衛生院衛生行政学部
ページ範囲:P.234 - P.238
文献購入ページに移動ここ数年来,地域保健活動ということばが公衆衛生あるいは医療の関係者によって,しきりに用いられるようになった.とくに公衆衛生関係者が,従来の公衆衛生という戦後なじみの深い用語にかえて,あえてこの新しいことばを用いるようになったことはけっして偶然ではない.すなわち,昭和30年代以降の社会的経済的な激しい変動のもとで,公衆衛生の対象そのものである国民の健康像,死亡像にかってない質的な変化が進行し,しかもそれが地域の諸特性を鋭く反映しているという現実のなかで,新しい方法論の開発と確立を迫られ,従来の公衆衛生のあり方の評価反省に立って,意識的にこの新しい用語を用いるようになったといえる,"新しい酒は新しい皮袋に"という切実な要請は,筆者自身最も痛切にこれを実感しているひとりであるが,この問題の国際的な動向と内外の歴史的視点に立つ総論的な部分は,すでに小著"地域保健活動--公衆衛生と行政学の立場から--"(医学書院,1968)に述べたので,ここではなるべく重複することをさけるが,講座の第1回として,その若干の基本的な点について述べたい.そこで,最初にこの用語の概念を従来の公衆衛生との対比において整理することからはじめたいと思う.
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