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特集 勤労婦人の保健
勤労婦人の妊娠・分娩障害
著者: 佐道正彦1
所属機関: 1阪大・衛生学
ページ範囲:P.270 - P.276
文献購入ページに移動勤労婦人といっても,産業労働の中におけるそのあり方は,時代とともに変わってきた.戦前の日本においては,農業家族従事者としての"農婦"と,少女労働者としての"女工"が婦人労働の主要な形態であり,かれらはともに天皇制国家の富国強兵を実現するため,過酷な労働条件の下で,健康を破壊されながら,産業労働の最も低辺をささえてきた.
第2次大戦の終結,新憲法の制定を境に婦人を含めすべての国民が,国家の主権者となり,労働保護法規も整備され,国民は男女平等,文化的生活を権利として確保した.婦人労働の形態は,都市の賃金労働者が数の上で,農業家族従事者にとってかわり,農村婦人の労働自体,農業機械,農薬などの化学薬品の導入,男子の出稼ぎ増加によって,その内容もかわりつつある.
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