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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生34巻5号

1970年05月発行

文献概要

研究

甲状腺機能亢進症に関する疫学的調査研究

著者: 丸地信弘1 降旗力男2 牧内正夫2

所属機関: 1東京大学医学部保健管理学教室 2信州大学医学部丸田外科教室

ページ範囲:P.310 - P.315

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 甲状腺機能充進症の地域における疫学的実態把握を試みるため,長野県において全県下より15地区を抽出し,そこの全住民73,045名を対象に調査を行なった.その結果,次の成績を得た.
 1)本症の地域的な有病率は調査1,000対0.8(男0.4:女1.1)であり,これは甲状腺がんのそれより低頻度である.
 2)本症の地区別有病率では,有意に高いところが1地区認められたので,その要因について種々検討を加えてみたが,それは明確になし得なかった.
 3)本症の年齢階層別有病率では,男は年齢差をとくに見出せなかったが,女では若年層に少なく,中年層とりわけ50歳代に多く発見された.しかし,これもその理由づけは本調査の範囲ではできなかった.
 4)臨床専門機関で相対的に多くをしめる甲状腺機能亢進症も,地域調査の場合では,発見される甲状腺疾患の1〜3%をしめるに止まる.
 5)本調査で確認された甲状腺機能亢進症は全部で47例であったが,全例がびまん性の甲状腺腫大でToxicnodular typeはみられず,またその約2/3は要治療の段階であった.さらに,本症例の約1/3は臨床症状が顕著にもかかわらずその異常に気づいていなかった.
 6)本症の発生率は相当ひくい頻度と考えられるが,その確定には相当数の調査の心要なことを知った.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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