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研究
甲状腺機能亢進症に関する疫学的調査研究
著者: 丸地信弘1 降旗力男2 牧内正夫2
所属機関: 1東京大学医学部保健管理学教室 2信州大学医学部丸田外科教室
ページ範囲:P.310 - P.315
文献購入ページに移動1)本症の地域的な有病率は調査1,000対0.8(男0.4:女1.1)であり,これは甲状腺がんのそれより低頻度である.
2)本症の地区別有病率では,有意に高いところが1地区認められたので,その要因について種々検討を加えてみたが,それは明確になし得なかった.
3)本症の年齢階層別有病率では,男は年齢差をとくに見出せなかったが,女では若年層に少なく,中年層とりわけ50歳代に多く発見された.しかし,これもその理由づけは本調査の範囲ではできなかった.
4)臨床専門機関で相対的に多くをしめる甲状腺機能亢進症も,地域調査の場合では,発見される甲状腺疾患の1〜3%をしめるに止まる.
5)本調査で確認された甲状腺機能亢進症は全部で47例であったが,全例がびまん性の甲状腺腫大でToxicnodular typeはみられず,またその約2/3は要治療の段階であった.さらに,本症例の約1/3は臨床症状が顕著にもかかわらずその異常に気づいていなかった.
6)本症の発生率は相当ひくい頻度と考えられるが,その確定には相当数の調査の心要なことを知った.
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