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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生34巻6号

1970年06月発行

資料

過密住居と蟯虫症の実態—保育所幼児を中心として

著者: 黒野俊弌1 水原完1

所属機関: 1大阪市浪速保健所

ページ範囲:P.362 - P.365

文献概要

はじめに
 寄生虫病は戦後回虫症を中心とした大流行をきたし,昭和24年には全国総保卵率70%以上をマークしている.その後衛生施設の改善,食生活における洗剤の普及,化学肥料,化学療法剤の発達と寄生虫予防に対する努力などにより減少した.回虫の減少につれて鈎虫が問題になり,鈎虫に重点がおかれたときもあったが,今日では大阪市でもほとんど回虫卵や鈎虫卵のみられない状態にまで至った.
 蟯虫については,セロファン検査紙による肛検法が普及するにつれ,寄生虫予防の重点が蟯虫対策におかれるようになったが,当時学童園児などでは蟯虫保有率40%くらいはしばしばみられ,大阪市においても昭和37年90%という陽性率も1部報告されている1).保育所においても昭和40年から寄生虫検査は蟯虫に重点を置くようになった.大阪市における保育所保育児の陽性率はその後年々減少しているが,当浪速保健所管内の保育所保育児の保卵率は,毎年平均して高率をしめし,昭和43年は陽性率26.3%で大阪市第1位であり,蟯虫対策の必要性に迫られた.そもそも保育所自体が公衆衛生上問題の多い地区に設置されており,また回虫における腹痛のごとき急激な症状もないので,つい無関心に放置されている例も多いと思われる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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