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特集 老人保健 主張
老人問題のなかの保健
著者: 山下章1
所属機関: 1東京都日本橋保健所
ページ範囲:P.514 - P.515
文献購入ページに移動老人問題は,単に高齢者の寿命延長や年金や施設への収容だけでかたずくものではない.老人の生活を安定させ,老年期を明るい生きがいのあるものにするところに主点があるはずである.昭和38年成立した老人福祉法にも「老人に対し,その心身の健康の保持および生活の安定のために必要な措置を講じて,老人の福祉を図ることである」といっている.
ところで,老人を単に暦のうえの年齢だけで律するべきではなかろう.60歳代でも床につきっきりで自立のできない者もあるし,80歳過ぎてもかくしゃくとしている者もある.老人問題という起点は,肉体的にも精神的にも衰退し,社会的なあるいは経済的な弱者が多いというところにある.働けない老人の多くは不健康に端を発しているし,家庭生活への不適応も同様のことが多い.老人問題の根源は不健康にあることを主張するゆえんである.
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