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特集 環境保健の提唱 提言
環境保健活動と私
著者: 浅野牧茂1 芦沢正見1 小林金一2 助川信彦3 土田和夫4 はやし秀5 六鹿鶴雄6
所属機関: 1国立公衆衛生院 2三重県四日市保健所 3横浜市公害センター 4東京都糀谷保所健所 5神奈川県立衛生短大 6名古屋市大医学部
ページ範囲:P.12 - P.19
文献購入ページに移動私にとっての環境保健の実践分野は,嗜好と健康の接点の上にあり,ごく限られた領域である.つまり,私は嗜好にもとづく有害な化学的環境に影響される人間の健康をまもる役割りの1つをつとめている.具体的には,喫煙や飲酒の循環系,とくに微細循環に及ぼす影響を調べて,その生理衛生学的意義を考え,かつ健康維持の方策に役立てるのが私の環境保健の実践である.
かつて嗜好品は食料の範疇でのみ考えられたが,現在はその意味する範囲は非常に大きくなり,味覚・臭覚・視覚をたのしませる飲食物以外に,噛料・臭料などをも当然のこととして含み,健康維持とかかわりの深い,嗜好品に由来する化学的環境は著しく拡大された.しかし,何といっても「酒・たばこ」と一口にいわれるように,コーヒー(および茶)を含めた3つのものは,その消費人口と消費量の大きいことから常に注目を浴びてきた.なかでも最近のWHO総会決定にみるように,喫煙が健康におよぼす悪影響は重大である.
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