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特集 第12回社会医学研究会 課題
公害と保健医療従事者
著者: 大橋邦和1 吉田健男2
所属機関: 1名古屋大学医学部公衆衛生学教室 2岡山大学医学部衛生学教室
ページ範囲:P.732 - P.746
文献購入ページに移動橋本周三(兵庫県衛生部)は,保健所で経験した"魚のあらを処理する工場"よりの悪臭といった公害問題を通して,行政の実情を発表した.昭和41年6月に,その処理工場がへい獣処理場等に関する法律により許可され,操業を開始すると同時に,周辺住民から悪臭が発生するということで苦情が絶えず起こった.しかし,苦情を受けとめる行政は,たとえば保健所は清掃を行なわせ,未処理の魚のあらの貯蔵庫を設けさせる.労使センターは,悪臭脱臭装置の設置の指導を,県担当課は,これらの事情と関係なく,企業独自の設備計画に融資するといった具合いに,それぞれの機関が無関係に,それぞれの立場で指導していた.そのため,企業さえも県の指導性に信頼を失いつつあるという実情を招いた.行政のセクショナリズムによる指導の失敗を是正する意味で,昭和42年8月に,魚あら処理に関係ある諸機関で連絡協議会を組織したが,協議会の代表機関の問題で,労使センターは,処理場法について権限をもつ保健所が担当すべきであるとし,保健所は処理場法に基づく基準を上まわってでるため,公害条令を担当する労使センターが代表者になるべきであるとして,相互に責任のなすり合いがなされた.
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