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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生35巻3号

1971年03月発行

文献概要

特集 予防接種の事故

ワクチンの開発

著者: 多々谷勇1

所属機関: 1国立予防衛生研究所

ページ範囲:P.161 - P.164

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 ワクチンの元祖が痘そう(天然痘)を予防するための種痘であり,これは約200年前にジェンナーが乳しぼり女の経験的な言葉にヒントを得て始めたものであることは広く知られている.その後,過去1世紀足らずのあいだに微生物学の急速な発達にともない,種々の疾病と病原微生物との関係が相ついで明らかにされるに及んで,ワクチン開発の研究も活発に行なわれ,現在用いられているような種々のワクチンが完成された.
 しかしながら,これらの期間の初期の頃と,最近とでは伝染病の疫学ないしは病原微生物の生態学も非常に変化し,特に化学療法剤・抗生物質の出現は細菌性疾患に対するワクチンの必要性に大きな変化をもたらし,また先進国における公衆衛生ないしは各個人の生活程度の向上はウイルス性疾患の疫学にも大きな影響を与えるに至った.したがってワクチンの開発なり改良なりも,これらの諸般の要素に適合したような姿でなされなければならない.ポリオ(小児麻痺)およびそのワクチンなどはその最もよい例の1つであろう.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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