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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生35巻5号

1971年05月発行

文献概要

発言あり

薬公害

著者:

所属機関:

ページ範囲:P.261 - P.263

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医学は医薬医療産業のカイライか
 くすりというのは〈奇する〉ものということだというのは伴信友の解釈である.ほかに橘守部の〈草いり〉説,つまり草を煎じたものという説もあるが,奇蹟的な作用をおこすものという考えの方が真実味がある.そういえばpharmacyとかpharmacologyなどのギリシア語幹pharmakonは〈魔法〉という意味である.
 病気になれば,精神をふくめて人間の全存在が異常になる.その苦痛と下降していく生命の不安から,冷い客観的判断より,熱い主観的な世界に知覚と行動をはたらかす.迷信や魔法はまさにこのような世界において力をもつのである.これは洋の東西,古今のいずれを問わない.〈科学的〉医学の産物としての近代的な薬も,それが薬であると伝えられた途端から,魔法的な奇効をもつものとして通用するようになる.最近,ある人から聞いたところでは,マスコミで宣伝される〈保健薬〉を,もっとも好んで飲む年齢層は20代だという.また別の調査では,オミクジや,オマモリの顔が好きなのも,この年代だという.この2つを合わせて考えると漫画世代,"フィーリング" の世代という人間像が浮かびあがる.合理的思考を拒否したムード派である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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