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文献概要
特集 公害に挑む
企業都市の宿命を破る—戸畑区・北九州市の場合
著者: 林えいだい1
所属機関: 1前教育委員会
ページ範囲:P.284 - P.286
文献購入ページに移動土地の無料提供や,不当に安価な土地の買収,半強制的な労力提供などによる住民の不満はあったが,「鉄は国家なり」という大義名文のもとに国のためには文句をいうべらかずということで,住民の意志は完全に無視された.遠賀郡八幡村から八幡市へと発展していったが,八幡製鉄所内八幡市といわれるほど,すべてが八幡製鉄所の支配下であり,地方自治体ですらこの例外ではなかった.学校やその他の施設も急増する人口には追いつけず市の財政は窮乏にあえいだ.官営のため地方税を払わず,財源に困った八幡市は政府の補助金を嘆願した.この助成金増額の請願運動が唯一の市民運動であったことからも,都市形成の初期から企業都市の宿命をになっていたといえる.
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