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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生35巻5号

1971年05月発行

文献概要

発言あり

科学者は公害と闘う力とはなれない—「森永ヒ素ミルク中毒事件」(本誌2月号)に思う

著者: 宇井純1

所属機関: 1東京大学都市工学

ページ範囲:P.289 - P.289

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 公害と科学者の役割について,ここに書かれたことには全く賛成である.医学的認識が19世紀の急性中毒症状の水準にとどまっていること,学閥や行政や企業などの体制を維持しようとする社会的な力に左右されることは,公害のケースワークをやっている私も日日感ずるところである.
 しかし,ここではもっと大きな困難を指摘しなければならない.公害には専門家はないのである.専門分化の一方に走りつづけた現在の科学は,自然科学であれ,社会科学であれ,公害をごく部分的にしかとらえられないことをいつも痛感する,専門家は新しい問題に対して,いつも断片的な知識と対策しか用意できなくなってしまっている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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