文献詳細
文献概要
発言あり
保健行政における住民参加
著者: 赤星一郎1 青山英康2 石田宗治3 金子光4 仲村優一5
所属機関: 1九州中央病院 2岡山大学衛生学 3石川県衛生部 4元東京大学保健学科 5社会事業大学
ページ範囲:P.389 - P.391
文献購入ページに移動住民参加ということばは,当世流にいえばいわゆる「カッコいい」ことばのひとつである.カッコいいことばは,とかく内容を伴なわないままで空虚なスローガンと化する危険性を常に内蔵している.「福祉国家の確立」,「社会保障の充実」等々,みんな同じことである.そのことば自体が繰りかえしお題目のように唱えられただけで,何か効能があったかの錯覚をおこさせるのである.
しかし,他人事としてではなく,私という他ならぬひとりの住民が,私の住んでいる地域社会での保健行政との関係で,住民としてそれに参加するとはどういうことなのかと考えてみると,これほどわからないことはないし,これほど実体のない概念はないことに気がつく.住民参加ということばは,ひょっとすると,住民不参加にベールをかぶせるための合理化の手段でしかありえないかもしれないのである.
掲載誌情報