公衆衛生36巻1号

1972年01月発行

研究

フィリピンのポリオ対策—日本の医療協力を中心として

著者： 森本忠良¹ 曽田研二² 平山宗宏³ 伊藤昭吾⁴ 安川史郎⁵ 石原佑弌⁵ 寺松尚⁶ 越後貫博⁷ 橋爪壮⁸ 本田正⁹ 山形操六¹⁰ 柳沢謙¹¹

所属機関： ¹東京都武蔵調布保健所 ²東京大学医科学研究所 ³東京大学医学部保健学科 ⁴埼玉県衛生研究所 ⁵愛知県衛生研究所 ⁶富山県厚生部 ⁷海外技術協力事業団 ⁸千葉県血清研究所 ⁹三重県衛生部 ¹⁰千葉県衛生部 ¹¹国立予防衛生研究所

ページ範囲：P.51 - P.60

　フィリピンにおけるポリオは他の疾患に比して，統計上，さほど大きな割合を占めるものではないが，漸増の傾向にあり，かつまひ型ポリオの社会に与える影響の大きいところから，フィリピン政府は，1967年8月から日本政府の協力をえて，首都圏を中心として大規模な生ポリワクチン投与を開始し，全国的な重要な防疫対策の1つとして，今日に至っている．フィリピンのポリオ対策を論ずるに当たって，この時点を基点とし，生ワクチン投与前の状況と，それ以後の状況にわけて述べる．