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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生36巻10号

1972年10月発行

文献概要

講座

生態学序論(3)—生物群集をとりまく環境

著者: 手塚泰彦1

所属機関: 1東京都立大学理学部

ページ範囲:P.647 - P.650

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4.生物群集をとりまく環境
 前回は生物群集がどのように構成され,また群集の構成員の間にどんな相互作用がみられるかを考察した.今回は生物個体または群集とそれをとりまく無機的環境との関係について考察してみたい.
 無機的環境のうちで,生物にとってもっとも基本的な物質,すなわち,生物を直接とりまき,生物がそれとの間で物質の交換を行なっている環境物質は媒質(medium)と呼ばれる.具体的にいえば,生物をとりまく媒質は大気と水と土壌の3つである.このうち,土壌は厳密にいえば媒質ではない.土壌中には多くの生物が生息しているのであるが,彼らを直接取りまき,また彼らが物質を直接交換しているのは土壌中の空気と水であって,土壌粒子は機械的に生物を支えているにすぎない.このような物質は基層(substratum)と呼ばれるのであるが,土壌は大気,水とならんで,生物圏(biosphere;地球上で生物の生息している空間をいう)を構成する三大空間の1つであるので,ここでは便宜上媒質の1つとみなしておこう.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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