icon fsr

文献詳細

雑誌文献

公衆衛生36巻3号

1972年03月発行

文献概要

発言あり

安楽死

著者:

所属機関:

ページ範囲:P.143 - P.145

文献購入ページに移動
死の選択権は誰に?
 生命,それは誰のものであろうか.いうまでもなく,その人自身のものである.しかし,もしその生命が危うくなった時,その帰結を決めるのは,一体誰なのか.この問題は医療の中では,毎日直面することであり,きわめて古く,そして常に新しい問題なのである.西欧キリスト教的発想においてすら,このことはゆるがせにできぬ問題となりつつある.
 昨年,渡辺淳一氏が,小説現代で提起した,死の選択をめぐる決定権が医療にありうるのか,という問題は,小説の中であるが故に余り論議をよばなかったかもしれないが,社会政策のある程度ととのった北欧諸国においてさえ,重要な論点となっている.近代医学技術の進歩は,たしかに迫りくる死を,一時遠のかせたという功績をおさめた.しかし,病者の悩みや家族の苦しみを救うものではなかった.今日でも,末期がんの患者に何も施療しないでくれと,医師や看護婦にすがる家族は後をたたない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら