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教室めぐり・30 福島県立医科大学公衆衛生学教室
深い県衛生行政との関わり
著者: 辻義人
所属機関:
ページ範囲:P.190 - P.190
文献購入ページに移動教室の現在の研究の流れは,大別すると3つに分けることができる.その第1は民族衛生学的研究であるが,その源流は桑原教授時代にあるといえる.すなわち昭和29年に福島県の秘境といわれる桧枝岐(ひのえなた)村の調査を行なったのが,隔離集団の民族衛生的研究の嚆矢である.最近交通が盛んになるにつれて,隔離状態が失われつつあり,これに伴い貴重な資料が失われつつある.したがって,今のうちにこの研究を続けておく必要があるといえる.この考えのもとに,桑原教授離任後も県内各地に残存する隔離地区の調査が続けられ,現在は山形県に及んでいる実情である.隔離地区の調査にからんで,遺伝形質の遺伝子頻度と血族結婚との関係など,人類遺伝学的研究が進められるようになり,さらに染色体異常の発生に関する因子の追求にまで及んできている.本学臨床各科にて染色体異常が疑われる時,その核型分析は本教室が受持つ形になっているほどである.
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