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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生36巻4号

1972年04月発行

文献概要

講座

婦人労働(9)

著者: 嶋津千利世1 原田二郎2

所属機関: 1群馬大学教育学部 2杉野学園女子大学短期大学部

ページ範囲:P.258 - P.261

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戦後日本の婦人労働
 第2次世界大戦は「総力戦」としてたたかわれ,経済体制も文化制度も,すべてのものが戦争遂行に照準された.そして,男も女も大人も子供もこの目的へむかって駆りたてられた.東北地方からは,小学校--当時の国民学校--をでたばかりの子供で満席の列車が日に幾本となく到着した.資本家は国家とむすびついて暴利をむさぼりつつ戦時下を口実にあの欺瞞的な工場法をも停止し,婦人や年少者の労働時間や夜業を無制限にした.そして,前にもふれたように,婦人の労働領域をひろげ,生産現場や事務員として大量の婦人が動員され,徴用された.この結果,戦時下の婦人は搾取され,搾取を原生的労働関係のもとであられわるような形で強化され労働災害をこうむり,肉体の荒廃を強制される反面で,時間をまもることを教えられ--現在では想像もつかないかもしれないが,むかしは,講演会などでも,たとえば浦和時間とか○○時間というのがあって30分や1時間くらいおくれるのはざらであった--一定の目的にしたがって一定時間,規則正しく,前後の工程の人と調和をたもちながら働くことをおしえられ,労働者は男女の別なく労働そのものにおいて訓練され,組織され,きたえあげられた.近代科学の粋をあつめた工場ではたらいた成果を婦人たちは自覚するかしないかにかかわらず身につけたにちがいない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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