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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生36巻6号

1972年06月発行

文献概要

特集 性と公衆衛生

性と医学

著者: 村松博雄

所属機関:

ページ範囲:P.348 - P.359

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 太古の昔から,あるひとつの秩序を志向するものは,人間の持つエロスやタナトスをどのようにコントロールするか,どのようなものとして認識するか,ということに最大の努力を払ったに違いない.
 が,不幸にして人類の歴史は,私たちにそのような記録を数多く遺すということをしなかった.文学・芸術・哲学その他の分野において,私たちは,人類のすばらしい遺産に接することはできる.人間の知恵と経験を集積したものとしてのしきたりや,語り伝えに接することもできる.しかし動物としての人間に内在する性に焦点をすえ,医学・生物学・心理学・社会学・文化人類学の分野で多角的に論ずるようになったのは,たかだかここ一世紀の間にすぎない.しかもそれらのもたらした多くの業積が,私たちの生活,たとえば法律や道徳やしきたり都市生活といったものに反映して,人間の生き方にひとつの志向性を与えるという段階までには至っていない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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