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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生37巻10号

1973年10月発行

文献概要

特集 危険な日用品

美容用製品による皮膚障害

著者: 石原勝1

所属機関: 1東邦大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.688 - P.696

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化粧品使用の目的
 化粧品にはそれをぬることによって皮表を整え,潤いのある状態にすることを本来の目的とする基礎化粧品と,皮膚や口唇,爪などを美しくみせるためのメーキャップ化粧品があり,このほか、紫外線吸収剤その他の化学物質を入れてこれらの効果を期待する製品もある.また化粧品としての性格をもっているが,その成分中の化学物質の皮膚や毛に対する影響がより大きいと考えられるもの,例えばヘアダイ,コールド液,薬用シャンプー,薬用トニック,薬用石けんなどは,本邦では医薬部外品として別に扱われている.
 皮脂腺からの皮脂の分泌が男性ホルモンに影響されるため,女性の皮表脂質量は男性のそれよりも一般に少なく,また30歳前後から経年的にその減少が目立つことが,今年の日本皮膚科学会総会でも新潟大学から報告されていたが,この皮表脂質量の性差のために女性がクリーム,乳液などの基礎化粧品を必要とし,とくに皮脂や汗の分泌量が減少,加えて外界湿度が低下する冬期にはより油性の基礎化粧品が多用されるようになると説明されている.他方メーキャップ化粧品は主観的,客観的に容貌を美化することを目的とする製品で,昨今の美容はこのメーキャップ化粧に重点がおかれている傾向があるが,太田母斑や顔面の単純性血管腫などを隠蔽し,精神的に好影響を与えることにも意義がある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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