文献詳細
文献概要
特集 第14回社会医学研究会(主題・地方自治体と保健衛生) 主題
自治体と医療
著者: 朝倉新太郎1
所属機関: 1大阪大学医学部公衆衛生学教室
ページ範囲:P.810 - P.817
文献購入ページに移動時代の変化とともに,医療は公共サービスとしての性格をだんだん強くもつようになってきている.しかし,そのことはなにも,すぐ国が前面にでて医療をコントロールすることを意味するわけではない.むしろ,どこの国においても,いわゆる医療の社会化の過程には,「自治体医療の確立」とでも呼ぶべき段階を経るのが常である.そして,この時代における医療の成熟の度合が,そのあとにつづく医療の性格を決定づけるといっても過言ではないかも知れぬ.碩学のH. E. Sigeristはこのような観点から,ソビエトの「社会主義医療」を帝政末期のZemstor Reform(1864)に結びつけて論じている.英国においても,国営医療に至る過程には,確固とした地方保健医官制度と自治体病院の展開があった.
掲載誌情報