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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生37巻12号

1973年12月発行

文献概要

特集 第14回社会医学研究会(主題・地方自治体と保健衛生) 主題

森永ヒ素ミルク中毒事件と自治体

著者: 東田敏夫1 細川一真2

所属機関: 1関西医科大学公衆衛生学教室 2森永ミルク中毒の子供を守る会

ページ範囲:P.832 - P.839

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1.問題の所在―森永ヒ素ミルク中毒と自治体とのかかわりあい―
 日本の「公害」の特質は,その被害のはげしさだけでなく,被害者の人権無視と加害者責任の回避にある.すなわち,(1)被害の過少評価と加害企業責任の軽減・免罪,(2)そのための「加害企業と行政との癒着」と官製「第三者機関」および「学界の権威」による合理化,(3)被害者救済・復権のたなあげときりすて,である.
 実は,これらの日本の「公害」の特質の全ては,18年前に発生した森永ヒ素ミルク中毒事件においてその原型がみられており,これらは,その後,続発した公害事件にうけつがれた.しかも重要なことは,森永ミルク中毒被害者の人権無視は,国家独占体制における保守・官僚行政と加害企業の癒着によって生みだされたものであり,事件発生後18年,「14年目の訪問」などによって掘りおこされて以来4年を経た今日も,なお続いているのである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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