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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生37巻2号

1973年02月発行

講座

生態学序論(6)—生態系はいかに変化しているか

著者: 手塚泰彦1

所属機関: 1東京都立大学理学部

ページ範囲:P.117 - P.121

文献概要

2)水界生態系の変化
 水はわれわれ人間の生活にとって不可欠であるのと同様に,すべての生物にとっても不可欠であることはすでに述べた.
 わが国における年平均1,750mmという恵まれた降水量は,国土面積37万km2を乗じて,絶対量にして年間約6,000億m3の淡水を陸上にもたらしている.この水のゆくえについてみると,約2,000億m3は直接蒸発によって失われ,約2,000億m3は洪水によって短時間のうちに海洋へと流出し,残りの約2,000億m3が山野をうるおし,平常時の河川水となって流れ,やがて海へと沿ぐ.この最大限利用可能な2,000億m3の陸水のうち,合計約750億m3が現在,農業用水(460億m3),工業用水(210億m3),水道用水(80億m3)などに利用されている(高橋,1971).都市化や工業化にともなってわが国の水需要が急速に増大しているので,近い将来水の枯渇が予想されるが,少なくとも単位国土面積あたりでは,わが国は諸外国に比べて水資源が豊富であることは否定し得ない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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