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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生37巻3号

1973年03月発行

文献概要

特集 ONLY ONE EARTH

環境における長期微量汚染の人体に及ぼす影響

著者: 原田正純1

所属機関: 1熊本大学体質医学研究所

ページ範囲:P.171 - P.175

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 人類は有史以来,さまざまな中毒と直面してきた.中毒の最初の被害者は研究者であった.新しい物質,技術の開発の途上で多くの研究者が中毒になった.ついで,その生産課程では多くの労働者が中毒にかかり(産業中毒)そして今日,それは食物汚染や環境汚染を通じて一般の人々に中毒を多発させてきている(それを,われわれは公害病などという奇妙な呼び方をしているが).しかし,水俣病(メチル水銀中毒),カネミ油症(PCB中毒)などで示されるようにそれらはその原因となるべき物質の多量の急性の汚染による中毒が多かったのである.そういう意味では環境や食物経由の中毒とはいえその発生基盤は産業中毒と相似点も多かったのである.しかし,今日,われわれの環境は多種の毒物の微量な汚染が不気味に進行している.今後,問題になる中毒,また最重要な課題として注目しなければならない問題は長期微量汚染の人体に及ぼす影響である.しかも,その対策は今から手をつけはじめなくてはならなく,それが十分に危険だと立証されたときでは遅すぎるのである.1972年6月のストックホルムでの環境会議でもそのことが切実に感じられ,各国の学者の中にもその問題に関して一種の焦りさえも感じられたのである.微量汚染に関する問題を考える1つの材料として私は水俣病に関してレポートしてみることは無意味でないと考える.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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